こんにちは。福岡県宗像市にあるマセダ歯科医院です。
毎年、4月〜6月に学校歯科健診が実施されます。
もうしばらくすると、お子さまが学校から歯科健診票をもらってくる頃かと思われます。
健診結果を見て、様々な記号の記載があり疑問に思ったり、虫歯や歯並びについての注意があると
「すぐに治療を受けないといけないの?」
「しばらくは様子を見よう」
「もう少し大きくなってから歯医者に行こう」
などと思われる保護者の方も多いのではないでしょうか?
この記事では、学校健診について、そして虫歯や歯並びについて注意された場合どのようにしたらよいのかを詳しく解説します。
お子さんの健診結果を見て不安や疑問に思う方は、ぜひ参考にしてください。
学校歯科健診とは?

学校健診とは、毎年4月から6月の間に小学生から高校生までを対象に実施される歯科健診のことです。
歯医者さんが次から次へと生徒のお口の中をチェックし、治療が必要かもしれないお子さんとそうでないお子さんにふるい分けをします。
治療が必要かもしれないお子さんは、後日かかりつけの歯科医院で診てもらってくださいね〜と歯科医院への受診を促し、重症化を防ぐために行われます。
学校歯科健診では以下の項目をチェックします。
〈歯科健診のチェック項目〉
・歯(虫歯の有無・歯の形態異常・生え変わり状況・抜いたほうがいい乳歯の有無)
・歯肉の炎症(歯肉炎)の有無
・顎関節症の有無
・歯垢(プラーク)の有無
・歯並びや咬合(噛み合わせ)
歯科医院での診断
実際にお口の中は、歯科用のライトや、拡大鏡(歯を何倍もの大きさで見るもの)や、レントゲンを撮ってみないとはっきり分かりません。
また、歯と歯の間や顎の骨の状態などは目ではなかなか見えません。
学校健診の結果をもとに目で見て分からない部分には『虫歯がないか』
なかなか永久歯が生えてこない場合には『乳歯の下に大人の歯があるか』などを専用の機器を使って詳しく検査した上で、はじめて『診断』することができます。
学校健診で異常があるないにかかわらず、歯科医院の受診をおすすめします。
学校歯科健診票の見方

学校歯科健診で使われる記号は、歯の状態を示すために用いられます。
・『/』:健康な歯、虫歯がない歯
・『〇』:処置歯(治療が完了している歯)
・『C』:未処置歯(虫歯がある歯)、サホライドを塗布している歯
・『CO』:初期の虫歯(神経に達していない虫歯)、要観察歯、治療の途中の歯
・『△』:喪失歯、虫歯でなくなった歯
・『✕』:要注意乳歯、抜ける乳歯や永久歯の生え変わりの邪魔をしている乳歯
・『歯肉の状態』
0:異常なし
1:歯肉に軽度の炎症がある状態
2:歯肉炎、歯石の沈着がみられる状態
・『歯垢の状態』
0:異常なし
1: 歯の表面に若干の歯垢が付着している状態
2: 歯の表面に多くの歯垢が付着している状態
・『顎関節』
0:異常なし
1:開口・閉口時に軽度の異常や雑音が認められる状態
2:開口時に指2本分も開口できない、顎や筋肉に痛みがある状態
・『歯列・咬合』
0:異常なし
1:軽度の不正咬合がみられる状態
2:重度の不正咬合がみられ、矯正治療が必要と判断される状態
これらは、学校歯科健診の結果に記載され、保護者や本人に歯の状態を知らせるためのものです。
もし、健診結果に異常があった場合は、歯科医院を受診し、適切な診断・治療を受けるようにしましょう。
健診結果に「虫歯」と書かれていたら?

まず前提として覚えておいていただきたいのが、”虫歯”と言っても治療の必要性がある虫歯と治療の必要性のない虫歯があります。
「歯医者さんでは大丈夫と言われたのに、学校歯科健診で虫歯にチェックが入っていた」という事があります。
学校健診の場合は、治療が必要かどうか経過をみるべきものを『CO』、治療の必要性を認めるものを『C』と総称します。
どちらの記載があっても、一度歯科医院を受診しましょう。
そして虫歯の進行状況を詳しく診てもらうことをおすすめします。
下記では、健診結果に各記号があった場合の対処方法をお話しします。
『/』があったら?
健全な歯で虫歯がみられないという健診結果で、「歯科医院へは行かなくていい!」と思われている方が多いです。
しかし、お口の中に異常がないかを再確認するためにも歯科医院の受診をおすすめします。
歯科医院での定期検診は3〜4カ月お気にすることが望ましいので、それ以上の期間があいている場合は一度受診をしたほうがいいでしょう。
『CO』があったら?
初期の虫歯が疑われる状態で痛みがないため、本人は気づかないことが多いです。
初期の虫歯になりかけている歯は、表面が白く濁った状態や薄く茶色になっているのが特徴です。
そのまま放置すると虫歯が進行して、穴が空いたり、痛みが出たりするようになります。
しかし、初期の虫歯であれば適切な歯磨きやフッ素塗布などによって、歯の表面が硬くなって治る可能性があります。
基本的には「経過観察」となりますが、複数の歯に初期の虫歯が認められるなど、虫歯のリスクが高い場合は歯科医院の受診がおすすめです。
『C』があったら?
虫歯によって穴が開いている状態です。
また、以前詰めた詰め物が外れている場合や治療途中の歯も含まれます。
Cがあると診断されたら、速やかに歯科医院を受診することが必要です。
虫歯は進行すると痛みが出て、お子さまが痛い思いをしてしまいます。
どうせ生え変わるからと乳歯の虫歯を放置すると、永久歯の形態や歯並びにも影響を与える恐れがあるので必ず治療を受けましょう。
『〇』があったら?
過去に虫歯になり、詰め物や被せ物で治療が完了している歯です。
すでに治療済みの歯なので問題ありませんが、一度詰め物や被せ物をしている歯は虫歯の再発リスクが高いため、よく磨くようにしましょう。
お子さまがまだ小学生の場合は、保護者の方が仕上げ磨きをすることでも予防に繋がります。
『歯肉』『歯垢』『顎関節症』の1に丸があったら?
要経過観察となりますが、それぞれ症状が悪化する前に歯科医院の受診をおすすめします。
歯肉や歯垢の状態は、毎日の歯ブラシで改善できるので歯科医院で正しい歯磨きの方法を学んでみてはいかがでしょうか。
『歯肉』『歯垢』『顎関節症』の2に丸があったら?
重度の症状がある状態です。なるべく早めに歯科医院を受診して検査・診断が必要です。
治療が必要な場合は、歯科医院に通って症状の改善を目指しましょう。
健診結果に「歯並びに注意」と書かれていたら…
健診結果に「歯並びに注意が必要です」「要観察:咬合」などの記載があると、不安に感じる保護者の方は多いのではないでしょうか?
まずは、歯並びやその他の異常、気になることを歯科医院へ相談し、矯正の必要性や治療の開始時期などを見極めることから始めましょう。
《健診で指摘される歯並び》
上顎前突:いわゆる出っ歯のことで、上の前歯が前方に突出した歯並び
下顎前突:いわゆる受け口のことで、上の前歯より下の前歯が前方に出た歯並び
叢生:歯同士が重なってガタガタになった歯並び
開咬:上下の前歯が噛み合わず、すき間ができた歯並び
正中離開:最も手前にある大きい前歯同士の間にすき間がある歯並び
過蓋咬合:上の歯列で下の歯列がほとんど見えない状態の歯並び
《そのほかの項目》
粘膜の異常(粘膜にできものがある)
小帯の異常(小帯の形に異常がある)
過剰歯(通常より多い歯)
先天性欠損(生まれつき永久歯が足りない)
癒合歯(隣の歯同士がくっついて1つの歯になっている)
エナメル質形成不全(歯の表面のエナメル質が少なく、虫歯になりやすい歯)
歯並びについて多くの方からよくある質問を以下で解説していきます。
Q1. 歯列・咬合が「要観察」と書かれていました。矯正は必要ですか?
「要観察」とは、今すぐ治療が必要というわけではないが、経過を見ていく必要があるという意味です。
ただし、成長期のうちに対処した方が治療の選択肢が広がります。
矯正をしたほうがいいのか迷われている場合は、一度歯科医院へ相談を受けることをおすすめします。
Q2. 歯並びが悪いとどんな影響がありますか?
歯磨きがしにくくなり、虫歯や歯周病のリスクが高くなったり、噛み合わせのズレで顎関節や発音に影響することもあります。また、見た目を気にして、口元を隠す・人前で笑えなくなるお子さんもいらっしゃいます。
歯並びは見た目だけでなく、お口の中の健康や心の成長にも関わる重要な問題です。
Q3. 学校では何も言われなかったけど、気になる歯並びがあります。相談しても大丈夫?
もちろん相談していただいて大丈夫です。
学校検診はあくまで「簡易チェック」ですので、見落とされるケースもあります。
「前歯が出てきた」「上下の歯がきちんと噛み合っていない」などと、気になる症状がある場合は、矯正歯科での早期の相談・精密なチェックをおすすめします。
「まだ早いかも」「もう遅いかも」と思わずに、気になることがあればまずは相談してみてください。
Q4. 矯正治療はいつから始めるのが良いの?
お子さんの矯正治療(小児矯正)のご相談は早期に行うことが大事ですが、治療そのものは「早ければ早いほど、良い」というわけではありません。顎が成長途中の場合は、しばらくは様子をみて適切な治療開始時期に合わせて矯正を始めていくことになります。
お子さん個々の症状や成長スピードによりますが、【小学校高学年から中学生頃】が矯正を始めやすい時期になります。
歯科医院とよく相談して、矯正治療が必要かどうか、また治療するとしたらいつが良いのか、アドバイスを受けるようにしましょう。
学校健診でひっかからなかったとしても…
学校歯科健診の結果は、あくまでも目安です。「絶対に大丈夫!」とは安心できません。
仮に歯科健診でひっかからなかったとしても、目に見えないところに虫歯があったり、歯並び等に異常があることもあります。
お子さまのお口の中の異常を早期発見をするためにも、今度の虫歯予防のためにも、適切な時期に矯正治療が始められるためにも、学校健診後は一度歯科医院の受診をおすすめいたします。
まとめ:学校健診は大切な“きっかけ”です
学校歯科健診は、全ての歯を正確に診断できるものではなく『簡易チェック』となります。
虫歯や歯並びなどの異常を早期発見して、予防に努めることが目的となっていることを知っておきましょう。
虫歯に関しては初期の虫歯であれば痛みが少なく、治療期間も短く済みます。
また、歯並びに関しては、小学生のうちにしかできない内容の矯正治療も存在し、選択肢が拡がることでお子さまに合った治療法が選べる可能性もあります。
矯正治療は長期にわたるものなので、早めに情報を集めて判断することが大切です。
学校歯科健診の結果に異常があった場合はあまり嬉しいものではありませんが、悪いお知らせとは思わずに良いきっかけと捉えましょう。
「まだ様子を見よう」と思いがちですが、健診健診結果はお子さまの歯やお口の将来を守る第一歩です。
異常要まずは歯科医院を受診し精密な検査や相談をしてみましょう。
監修者情報

マセダ歯科医院
院長 間世田勇気 Yuuki Maseda
開業から35年以上、現在でも年間10,000人以上の患者様が来院され、これまでの経験と知識による正確な診断力と確かな実績で患者様の健康を口腔内から守っています。
患者様一人一人にとって、本当に最善・最適な治療を提案し、確かな技術をもって実行することで、
信頼され続ける「かかりつけ歯科医院」を目指し、より良い歯科医療を提供している。
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